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水彩植物

罰かぶった私

  • 執筆者の写真: Macoron
    Macoron
  • 3月30日
  • 読了時間: 4分

小さい頃、音楽教室に通っていました。

エレクトーンで8人くらいのグループレッスンだったと思います。

毎週1回、自転車に乗って1人で通っていました。

 

レッスンはコの字に並べられたエレクトーンにそれぞれ着席し、後ろに置かれたパイプ椅子には保護者の方が座られていました。

我が家は、母も仕事のためなかなか一緒に来てくれることはありませんでした。

 

レッスンが終わると、どの家庭も「よく頑張ったね~。ジュース飲もうね~。」とみんな頭をなでなでしてもらったり、抱きしめてもらったりしながら自販機のジュースを買ってもらい、幸せそうにお母さんの横に座りジュースを飲んでいました。

みんなにとっては、当たり前のことだったかもしれませんが、そんな光景を私はうらやましく思っていました。

 

しばらくそんな光景を見ながら一人自転車に乗って家に帰るという日々を送っていました。お母さんに来てほしいということも言えず。でもそんな幸せそうな美味しそうなジュースを私も飲んでみたいと思うようになりました。

 

ある日、とうとう我慢が出来なくなり、お母さんのお財布から100円玉を取って、音楽教室に向かい、レッスン後にジュースを買うのでした。

 

お金を勝手に取ったことがどれほど悪いことで、絶対にやってはいけないことだということは十分分かっています。人のお金に手をつけるなどあってはなりません。

 

しかし、その時の私は、どうしても同じ思いをしてみたかったのです。

 

お母さんに来てほしいと言うことは、忙しいお母さんが無理をし、辛い思いをしてしまうと子供ながらに感じていましたから。だったら、あのみんなが飲んでるジュースだけでも飲んでみたい。

 

当日、1日中ポケットに入っている百円玉が気になって気になって、何にも手につかず、ずーっとドキドキしていました。お母さんごめんなさいと心の中で思いながら。

 

そしてついに音楽教室の時間がやってきたのです。レッスンは上の空で、音楽を楽しむことなどできるわけもなくレッスンの時間が終わりました。

 

みんなはいつも通り、お母さんと一緒に椅子に座って楽しそう。

 

私は、決死の覚悟で、人生初めての自販機へ。

 

100円玉を入れて・・・HCアップルを・・・きょろきょろ👀

 

心臓が飛び出るくらいにドキドキしながら震える手でボタンをポチッ!!!

 

ガシャガシャーン!!!

 

ついにボタンを押してしまいました。慌ててジュースの出口を開けると・・・

 

あ、あれっ・・・!!!い、いやーっ!!!(心の中の私の叫び)

 

なんと、出てきたのは・・・リアルゴールド・・・(おじちゃん達が飲んでるやつ)

 

うわー!!!罰かぶったぁ!!!(ドキドキMAX)

 

あまりのことに完全にテンパった私は、どうしていいか分からず、リアルゴールドを自販機の下に置いて、猛スピードで自転車を漕いで帰りました。

 

家に到着し、急いで自分の部屋に入ると、誰もいない家でくまさんを抱っこして「神様ごめんなさい。お母さんごめんなさい。」といいながら、わんわん泣いたのでした。

 

こんなことはもう2度としない。頑張っているお母さんに嘘をついた自分が許せなかったのでした。

 

そして、長い時間、私の心にしまっていたこの出来事は、自分が親になってから母に話しました。母は、

 

「そんなことがあってたの?みんながそうやってお母さん達とジュース飲んでるなんて知らなかったから、寂しい思いさせてしまってたんだね。忙しかったからね~。」と言われたのでした。

 

あの・・・私はお母さんの財布からですね・・と言ってるのだけど、お母さんはそんなことはどうでもいい様子で、私が寂しい思いをしていたということが申し訳なかったと・・・。

 

いやお母さんて・・・結局愛なんだな。

 

小さい頃から、こうしてほしいと言えない、なんとも不器用な私が起こした出来事でした。

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    Kurume city ​Fukuoka 
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